○貞享年間頃刊。青色、丸竜に紗綾形の模様の表紙。五針袋綴装。縦二六・八糎×横一八・二糎。単匡郭、縦二二・四糎×横一六・四糎。上冊一三丁、中冊一三丁、下冊七丁。
○外題、双郭の原題簽、上冊「□□（ヤブレ）むしやさくら上」、中冊「□□（ヤブレ）武しや桜 中」（「中」は墨書き込み）、下冊「〈古風の／當りう〉武者さくら 下」。内題、上冊「武者さくら 上」、中冊なし、下冊「むしやさくら 下」。版心、上冊なし、中冊第一丁は欠損、第二丁以下「中 十四（～二十五）」、下冊第一丁は欠損、第二～四丁「下 廿七（廿八、廿九）」、第五～七丁は手擦れにより不明。
○序、上冊「凡茲にあらたむる所の絵は往古《そのかみ》武道之／諸作にして外には智仁勇の三徳たる／かたちをあらはし内にはあさか山のちきりより／ふかき情の道をそれ〳〵に畫工菱川氏書り／見る人見ぬ世の友を其席〳〵にて今見る様／に思はるゝとなれは取集首にことはりをして／すける人のためにもならんと云々」。下冊序「爰に藻塩の草をとりあつめたる絵は漢／朝の人のかける筆跡にも似ず菱川と云畫師／一流にして品よく書なせりこれを見る人ごとに／有生非生山谷海川それ〳〵心をつくせりと／褒美しぬ誠にさもありぬへし心こゝにあらざ／れば見れ共みえすといへる事のあれは初心のなくさみ／にもならんと云々」。奥書、「右此繪つくしは古今無類所像形に／書たり若繪の手本にもなれが（濁点ママ）しと今板／行者也」。刊記、「繪師／菱川師宣／松會開板」。
○印記、長方陽刻朱印「前田」。長方陽刻墨印（印記不明）。見開き一面に一図、全三〇図（上冊一二図、中冊一二図、下冊六図）。挿絵の頭部に説明文を示している。全体にツカレ、墨による汚損あり。裏打ち補修。絵にはところどころに墨・朱・青・黄の彩色が加えられている。中冊第一丁オモテは欠落、中冊の序があったか。貴重本刊行会『菱川師宣絵本』に本書を底本として影印あり。その解説は下冊について「数丁欠か」とする。『師宣祐信繪本書誌』35番。
