○天和二年刊。土色無地表紙。四針袋綴装。縦一六・二糎×横一一・三糎。単匡郭、縦一二・五糎×横九・八糎。上冊二五丁、下冊一四丁。
○外題、表紙中央に原題簽、上冊「〈諸／國〉名所哥雀《うたすゝめ》 上」、下冊「〈諸／國〉名所うたすゞめ 下」。内題、上冊第二丁オモテに「名所和歌之道引」、下冊第一丁オモテに「名所和哥之道引」。版心、上冊「近 一（～廿五）」、下冊「近 廿七（～四十）」。通しの丁付で「廿六」の丁は上冊の、「四十一」の丁は下冊の裏見返しとなっている。
○序、「君が代は千代の古道《ふるみち》廣《ひろ》くしてなを／万代《ばんだい》が池の亀《かめ》は靏《つる》が岡《をか》によはひを／かさね四海の波《なみ》しづかにして納《おさま》りなび／くときなれはとつと貴《たつと》きはいふべくも／あらすちつと気《き》のあるは下つかたも／ 難波津淺香《なにはづあさか》山のことのはに心をよせ／すといふ事なしされは聖人《せいじん》は生《むまれ》なから／かしこく哥人は居《ゐ》なからにして名所をしる／とこそいへ蒙昧《もうまい》の我らこときは更《さら》に十方《とはう》／なし白川の末玉川の水流て国はしをも／しらて煩はしきに此一冊《さつ》ふしぎに得たれは／ 遼遠東南西北《れうゑんとうなんせいほく》数里《すうり》の便《たより》をもとむ予／おもへば一人のこゝろは千万人の心なり／我にひとしき盲闇《もうあん》の杖《つえ》に截《きり》て名所／ 和歌《わか》の道《みち》引《ひき》と名付て梓《あつさ》に言傳《ことつて》ば順《しゆん》／礼同者《れいだうしや》の土産《つど》にもならんと筆をやとふ／のみ 彌白」。刊記、「天和二〈壬／戌〉歳／二月中旬／繪者 菱川書之／松會開刊」。
○印記、なし。各冊見返しに「此主さよ」と墨書。挿絵いずれも片面で、上冊一八図、下冊一一図。表紙右下隅に上冊「一」、下冊「二止」と朱の書き込み有。
